アメリカン・エキスプレスの2024年第3四半期業績
$AXP 決算概要
アメリカン・エキスプレス（Amex）は、2024年第3四半期において、堅調な業績を報告しました。同社のビジネスモデルの強靭さと戦略的イニシアチブの効果を示す結果となり、純利益は25億1,000万ドル、1株当たり利益は3.49ドルに達しました。前年同期比で6%の増加を記録し、10四半期連続での収益記録を更新しました。収益は166億ドルに達し、前年同期比で8%の増加を示しています。これにより、通年の1株当たり利益予想を上方修正し、13.75ドルから14.05ドルの範囲に設定しました。
指標・数値
| 名称 | 数値 | 分析 |
|---|---|---|
| 純利益 | 25億1,000万ドル | 前年同期比で6%増加し、堅調な業績を示す。 |
| 収益 | 166億ドル | 前年同期比で8%増加し、10四半期連続で記録を更新。 |
| 信用損失引当金 | 14億ドル | 前年の12億ドルから増加し、信用リスク管理の課題を示す。 |
| 新規カード会員数 | 330万人 | 効果的なマーケティング戦略により、若年層を中心に新規会員を獲得。 |
| 経費 | 121億ドル | 前年同期比で9%増加し、顧客エンゲージメントとマーケティング投資が影響。 |
収益と利益の成長
アメリカン・エキスプレス（Amex）は、2024年第3四半期において、収益と利益の両面で顕著な成長を遂げました。純利益は25億1,000万ドルで、1株当たり利益は3.49ドルとなり、前年同期の24億5,000万ドル、1株当たり3.30ドルから6%の増加を記録しました。これは、Amexが10四半期連続で記録的な収益を達成していることを示しています。2024年第3四半期の収益は166億ドルに達し、前年同期の154億ドルから8%増加しました。この強力な業績を受けて、Amexは通年の1株当たり利益の予測を上方修正し、13.75ドルから14.05ドルの範囲に設定しました。これは、年間で約9%の収益成長を見込んでいることと一致しています。
カード会員の動向
Amexの成長を支える重要な要素の一つは、カード会員の動向です。カード会員の支出は6%増加し、これはAmexが発行する決済商品での総取引量を反映しています。また、カード手数料収入も18%増加し、新規顧客の獲得と既存顧客の維持に成功していることを示しています。第3四半期には330万人の新しいプレミアムカード会員を迎え入れ、特にミレニアル世代やZ世代の若年層に人気のある新しい米国消費者向けゴールドカードの導入が功を奏しました。新規アカウントの80%がこれらの世代によって開設されており、Amexの効果的なマーケティング戦略と魅力的な商品提供が反映されています。
信用損失の課題
Amexは第3四半期において、信用損失の増加という課題に直面しました。信用損失引当金は前年の12億ドルから14億ドルに増加し、これは主に貸出残高の増加に伴う純損失の増加によるものです。第3四半期の純損失率は1.9%で、前年の1.8%からわずかに上昇しましたが、前四半期の2.1%からは低下しています。この傾向は、経済環境の変化に伴うリスク管理への慎重なアプローチを示しています。Amexは、潜在的な景気後退リスクやインフレ圧力を含む経済的な不確実性に対処しながら、信用リスク管理に注力しています。
費用の増加
Amexの第3四半期における総費用は9%増加し、121億ドルに達しました。この増加は、顧客エンゲージメントコストの上昇、マーケティング投資の増加、運営費用の増加によるものです。特に、顧客との関係を強化するための取り組みや、競争の激しい市場での成長を維持するためのマーケティング活動が費用増加の要因となっています。また、四半期の実効税率は前年の20.9%から21.8%に上昇し、税制上の利益の変化が全体的な財務状況に影響を与えています。
将来の展望
Amexは、収益成長、信用パフォーマンス、費用管理のバランスを取ることが将来の成功に不可欠であると強調しています。マクロ経済の不確実性、地政学的な不安定性、規制上の課題など、事業に影響を与える可能性のあるリスクに対して警戒を続けています。特に、ウクライナやイスラエルでの紛争などの地政学的緊張が、世界経済の安定性や消費者の支出パターンに広範な影響を及ぼす可能性があります。Amexは、顧客体験の向上と若年層のエンゲージメントを強化することに注力しており、カード会員やパートナーとの強固な関係を維持することが成長を持続するために重要であると認識しています。今年は世界的に40の製品刷新を行い、消費者にとって魅力的で関連性のある商品を提供し続けることを目指しています。
堅実な成長と未来への備え
アメリカン・エキスプレスの2024年第3四半期の業績は、同社の強固なビジネス基盤と戦略的な成長への取り組みを反映しています。収益と純利益の増加は、カード会員の支出増加や新規会員の獲得によるものであり、特にミレニアル世代やZ世代といった若年層の取り込みが成功しています。これにより、同社は通年の1株当たり利益予想を上方修正し、今後の成長に対する自信を示しています。しかし、信用損失引当金の増加は、経済環境の変化に伴うリスク管理の重要性を浮き彫りにしています。顧客エンゲージメントやマーケティングへの投資が経費を押し上げているものの、これらは長期的な成長を支えるための重要な施策と位置付けられています。アメリカン・エキスプレスは、今後も収益成長、信用パフォーマンス、費用管理のバランスを取りながら、競争の激しい市場での地位を強化し続けるでしょう。特に、地政学的な不安定性や規制上の課題に対する警戒を怠らず、持続可能な成長を目指す姿勢が求められます。
企業情報
| ティッカー | AXP |
| 会社名 | アメックス |
| セクター | 金融サービス |
| 業種 | Credit Services |
| ウェブサイト | https://www.americanexpress.com |
| 時価総額 | $179,250 million |
| PER | 20.5 |
| 配当利回り | 1.1% |